仏教哲学は宗教とどう違うのか

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哲学の目的は思考の論理的明晰化である。(イマヌエル・カント)

哲学が取る立場と宗教がとる立場は基本的には大きく異なる。端的に言うならば、宗教は教えによる救済が目的となり哲学はその思想が人間にどういう影響をもたらすのかという思想の論理性の明晰化であると思う。

宗教者としての立場から、仏教哲学を語ると一言に己が身でその文献に書いてある事を実践しどんな結果がもたらされたのか検証してみたほうがいいと言いたい。そうすることでより哲学としての論理性をより飛躍させることができると思っている。実践は経典の単純な矛盾や、ノイズの傾向などが現場という新しいデータによってより論理性が明確にされるもので偉大な結果を生んだ仏陀の解釈にとても役に立つ

海外では、仏教は宗教ではなく哲学であるという論調がある。私も、実際に仏教の実践的応用を語る中で、これは科学に近いとか、物理学みたいだとか様々な言い方で評されることがある。あくまで、原始仏典の話をしている時のみなのだが。少なくとも原始仏典にはそれだけの論理性が備わっているというのは事実なのである。これを海外の方々が触れればやはり宗教ではないと言うかもしれない。

しかし、現代の日本に伝わっている仏教は様々な要素が加わって救済の現実的な仕組みとして宗教の特徴をよく含んだものとなっている。このことから一般的な日本人には仏教=宗教という構図は変わらないのである。しかし、仏教哲学≠宗教だと私は考えている。(住職)