法話集
星まつりを終えて
井上 道陽
大師講便り平成23年2月第88号より
例年よりも厳しい冷え込みの日々が続いております。
瀬の本は大祭の後も50cmを超える大雪で境内各所が今も雪に覆われています。
さきの1月9日に大雪の金剛宝寺で厳修されました開運星まつりに参加された皆様お疲れさまでした。
皆様の尽力により今年も無事開催できましたことを心より感謝いたします。
特に大雪への対応をしてくださったスタッフの方々、本当に大変だったとおもいます。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
今年は護摩壇の中の職衆も大きく変わりました。
従来多くても十数人でしたが、皆様の幸せを祈りたいと熱望される信徒さん達の増加によって二十名を超える職衆が壇の中に入りました。
足元は雪の上で素足、しばらく立っていると足の裏が痛くなり、すぐに感覚が無くなってしまいました。
修法中は「皆様の護摩木を焚かせて頂いている。行者として自らが持てるすべての力を込めて祈りを通してゆく。」そういう思いで焚かせて頂きました。
経文をあげていると風が舞い、炎が横に走り、口の中にまで炎が飛び込んでくることも何度かありました。
その都度、己の気を込めながら、己が天地自然の力と一体となって働くように祈り、炎を壇の中に押し戻すように祈りに力を込めました。
護摩の炎は不思議なもので気を込めると動きが変わり、修法するものの思いが変わるといつの間にか流れが変わります。
炎に向かって一心不乱に不動真言(のうまくさまんだばざらだせんだんまかろしゃだそわたやうんたらたかんまん)を唱え皆様の幸せを阻むものを護摩の炎により焼き尽くす、浄化の炎となるよう思いを込めました。
主要な作法が終わり光明真言(おんあぼきゃべいろしゃのう まかぼだらまにはんどまじんば らはらばりたやうん)になる頃 には気力も体力も尽きかけていました。
しかしながら、気持ち としてはとても清浄ですがすがしい感覚でした。
他の職衆の方も全力で精いっぱい祈ってくれたという感覚が会場の空気でよくわかりました。
厳しいお修行の条件でしたが、よい護摩を焚かせて頂けたと感謝しております。
人間というのは本当に気がはいっていると氷点下の雪の上も、五百度を超える護摩壇の火の上でも歩くことができますし、作法をすることができます。
修法している最中は必死ですし、命がけです。
他のことを考える余裕はありません。
だからこそ仏様に祈りがよく届くのだと思います。
心の底から願った祈りで、天地自然の法則に反していない願いは(人を幸せにしない願いや物理的に不可能な願いでないかぎり)叶うのだと思います。
私自身、自分が魂から願った願いは、自分の想像していた形とは異なることはよくありましたが、思って祈ったことというのはおかげを頂き、叶えて頂きました。
まだいくつか叶っていない願いもありますが、仏様を信じて思い続け精進し続ければ必ず実現すると信じております。
一心に神仏に祈る心にはそれだけで苦を抜き楽をあたえる働きがあります。
人は苦しいことや不安なことと、楽しいことやうれしいことを同時に思うことはできません。
だからこそ、仏様のいる方向・幸せになる心のありかたを知り、一生懸命に思えば、つらいこと苦しいことが自然と一緒に持てなくなって消えてゆくのです。
あれが足りないこれが駄目だとマイナスの不足ばかり嘆くといつも説いているとおり不幸に心をつないでしまいます。
今手にしているもの受け取っているものに気がついて感謝してゆきましょう。
あれが欲しい、これが欲しいという欲を少しだけでも減らしてみてはいかがでしょう。
欲はなにかをしたいと思い、行動するエネルギーでもありますから、お大師様の教えではすべて否定するものではありません。
ただ身の丈以上の過ぎたる欲や自分のことだけしか考えていない小欲は欲しいものが手に入らない、うまくいかないと苦しみの種になるものです。
そういう欲に対しては感謝と足ることを知ることで少し量を減らすと心が楽になります。
一心に祈ることによって光に向かい闇を退ける心を持ち、感謝と足ることを知ることで少欲から育つ苦しみを軽くできます。
できれば欲も他人や社会がよくなることを望む大欲にかえていきましょう。
皆様ひとりひとりが仏さまの境地に近づくことで世の中も皆さんのまわりから光がでるようになり、明るくなります。
本年もひとりでも多くの方が幸せになるよう皆様と一緒に精進してゆきたいと思っております。
合掌











